千光寺の金木犀あじさい寺として観光バスまでやってくる久留米市の千光寺には、
推定樹齢500年という大銀杏と大槙の樹、
樹齢300年の慶良間つつじなど、
古寺にふさわしい古木がありますが、
その中でもひときわ印象に残る「金木犀」(キンモクセイ)があります。

アジサイが鮮やかに咲き誇る、寺の裏庭に、
枝を落とされた太い幹から、若枝をピュンピュン伸ばして、
まだまだ元気そうなキンモクセイです。
幹周りは4Mもあり、その幹肌は500年の風雪を感じさせてくれます

「昔は数キロ先まで金木犀の香りに包まれた」という逸話もあったそうですが、
悔しいですね〜、台風で倒れる前の、大きく枝を広げている姿を見ていない。(/_;)
でもせっかく、たくさんの人の善意で生き返った古木ですから、また花香る時期に訪れてみようと思います。

金木犀の前にある案内板↓

わしはキンモクセイの老人、いや、老樹だ。今日は、うれしい話をしよう。
実は、こうして話ができるとは思ってもみなかった。去年の九月末、ひどい台風にやられた。
根元から倒れもうこれまでと観念した。何しろ五百歳になったのまでは覚えているが、それ以降は数えていない。
寿命だなと思った。ところが、わしの「再生を祈る市民の会」ができた。本当に福岡県久留米市の皆さんには感謝する。

千人以上の人々が寄付し、小遣いから数百円出してくれた小学生もいる。約百万円が集まったそうで、
人々は、弱っている部分を切り落としてから、十五メートルもあるわたしを引き起こした。
感激のあまり枝が震えたな、起き上がった時は。
添え木三本とワイヤでしっかりと支えてもらい、わしの身体も気持も安定した。

よし、また秋には、千光寺の境内から地域へと甘い香りを漂わせてみせるぞ、という意欲と希望がみなぎってきた。
三月になって新芽を出した時は住職の持地さんや市民の皆さんが喜んでくださったが、
本当は、わしが一番うれしかった。(抄)   平成4年5月10日「天声人語」より



再生した千光寺の金木犀


6/19 千光寺のあじさい 千光寺にある、九州の王・懐良親王御陵